罪人が幻想入り 22new
空白スペースです。


日はもう半分を切って、辺りが紅に染まりかけていた。

団子屋の店主(かずみと言うらしい)は今夜も言いといってくれたがさすがに悪いと思い、温かい目で見守られながら俺たちは人里を後にした。


小町の話によると、妖夢とチルノは二人で買い物に行った後、その場で解散。妖夢は幽々子さんに呼び出され、チルノはその場で友人と出会ったらしい。

そのことを妖夢がわざわざ茶屋まで来てくれて教えてくれたらしい。



そしていまは小町と二人きり。二人で人気のなさそうな道中を歩いている。


「結構、退屈しないもんだろ。」

しばらく無言で歩いていたら小町から話しかけてくれた。


「う、うん。まあ、ね。」


本当にいろいろあった。

手枷はつけられ。
殺されかけたり。
目の前が真っ暗になったり。
朝食作ったり。


ここにきて数日はたったけど、ほとんど厄介ごとに巻き込まれている気がする。

まぁ、寝ていた時間のほうが長かった気もするが。

深く考え込んでいると手枷がずしりと重くなってきた。


「ちょっと疲れちゃうかな?」

そんなそぶりを見せないように、頬をぽりぽりかきながら微笑む。


「そんなんじゃ、ここの世界は過ごせないよ。」

けらけらと笑い出す小町。

「異変なんてものは日常茶飯事!毎日異変や事件が起こるもんよ。」

まるで人事のように言っているような気がするが、そのことについては触れないでおこう。

「毎日が起点、てね。」

「ぷ。なにそれ。」

思わず笑ってしまう。毎日が異変だ!って言っている人からまさかその異変が起点になるなんて思いもしなかったから。

「笑うなよぅ。」

「ははっ、いやね。俺聞いたんだ。小町ってよく仕事サボるんだろ?」

毎日のんびり過ごしている人が『毎日が起点』ねぇ。ふーん。

「な、そ、そんなことないさ!ちゃんと寝ながらも霊を感知してるんだから。」

「で、強い反応だとそれが映姫様なんでしょ?」

「~~~」

もはやぐうの音も出ないようだ。

「くっくっく、あーおかしい。」

「――ひゅう!」

少しからかいすぎたか。小町の顔が赤らんでる。

「ははっ、わるいわるい。」


そう、俺は笑っている余裕すらあった。 




―――――――――

夕方あたりを周り、辺りは夕焼けで赤く染まっていた。

特に肌寒いわけでもなく、長袖のつなぎ服は少々熱いくらいでいた。

強い風が吹く。回りの樹木が風で揺らぐ。

まるで、何かを訴えかけているような。

もちろん服も風で揺らぐ。

小町の服も風で煽られ揺らいでいる。

散りゆく木の葉を手で覆い隠し、目に当たらないようにする。

これが普通の条件反射だ。

なのにソレはその素振りを見せることもなく

ただ体を前に崩しながら真っ直ぐ歩いて来てる。

髪も、服も、体も風に揺らぐこともなく。



一瞬にして思った。

目の前にいるソレは


人間デはないト。


思わず歩いていた足を止めてしまった。

思わず体が硬直してしまった。

思わず顔が強ばってしまった。


一瞬にして体に寒気が行き渡る。

心臓が高鳴る。血が体全体を流れているのが今なら感じ取れる。

動脈が動く。いつもより激しく。本当にはちきれんばかりに。

固唾を呑む音より心拍の方が大きくなりつつある。



これはやばい。


体がそう訴えてきたのだ。


「――ん?どしたの?」

止まっていた小町がこちらに気づく。

そんな小町は先程の少々赤らんだ顔で見つめてくる。

俺の強張った顔を見るやいなや冷静さを取り戻し、辺りを見渡しだした。


……小町気付いていない――?

俺が気づいているのに小町が気づかないはずがない。

なのに小町はまだキョロキョロと周りを見渡している。

ソレはこの一本道の真正面にいるのに――!

嫌な汗がでる。緊張のあまりか、口が開きっぱなしに。

怖い、怖い、怖い。


体が恐怖を訴え始めだした。

怖い怖い怖い。

腕が震え、足もだんだんと感覚がなくなり、震えだした。


コワイコワイコワイ。

だんだんと考えもなくなっていき意識が遠のいていく。貧血みたいな感覚に陥る。


こわいこわいこわいこわいこわいこわい
こわいこわいこわいこわいこわいこわい
こわいこわいこわいこわいこわいこわい。

脳の中で自分が「コワイ」とささやいている。その一言がエコーみたいに拡がり。頭の中をかき回す。


「お、お―。ひゅ――っか――!―――……


小町の言葉が途中で途切れる。


なのにその後はっきりと聞こえた。













ようやく会えたね





勢い良く飛び起きて、俺は天井に頭をぶつけた。

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