罪人が幻想入り 17



昼食を白玉楼でご馳走になり、俺達は人里のあの団子屋さんのところに一先ず戻ろうと一本道をうっくりと歩いていた。


白玉楼を出るとき、妖夢が「それなら私も賛同いたします。ちょうど買出しにも行きたかったところです。」と、俺達と一緒についてきている。


俺は小町、チルノ、妖夢の三人の女性…もとい女の子達より一歩遅い足取りで歩いている。


寝ているときにされた、新しい拘束具はいまだ効力を発揮させていないまま、俺の腕にしっかりとくっついている。

今度のタイプは手がくっついてはおらず、手枷というよりリストバンドに近い感じだ。もっとも、重さはリストバンドよりかなり重いが。


そして背中には幽々子さんから授かった刀「迷楼剣」を落とさないように紐で身体から落ちないようにしっかりと縛り付けている。今は不思議と寒気はしない。


話によると、この刀は妖夢が普段身に付けている刀とは少し違うようだ。その刀は今、幽々子さんのそばに置いているとのこと。

そして、この刀を意識してしまうと、手枷の効力が働いてしまい、手枷が重くなってしまうコンボ付き。

結構ややこしい装備となってしまった。もっとも、武器としてはこの武器は使えないだろう。


なぜなら、この刀は「抜けない」から。


「いやぁ、男の人が刀を持つと様になると思ったけど…ひゅうはそんなに似合ってないね。」


ふと小町が俺の容姿を見て一言呟く。もちろん聞こえるように。

「ん…そうかな…。刀って腰に身につけるものじゃないかな?だから背中に背負ってるとちょっといまいちに見えるんじゃないかな…?」

「そうとも言えませんよ。伊賀のほうだと背中に背負うのが基本。まぁ、そもそも刀の形が違いますけどね。」


いきなり伊賀のほうだととか言われても俺には正直分からん。ただ想像できたのが伊賀は何故だか「忍者」と言うイメージを持ってしまう。


何故だろう。元の世界の某漫画を見て覚えているからだろうか。


そんなことより、先ほどからチルノが「なんのはなし?」と指をくわえている。


「それにしても、この組み合わせってなかなかないものだねぇ。あたいと庭師と妖精。ほら、結構珍しい。」

「それも…そうですね…。私は小町とはそんなに面識してませんね。」


小町は愉快に話しているが、妖夢のほうは少々敬意をはらっているようにも見える。


「あたいはこまちとけっこういっしょにいるよ!こまちねーあたいのみずうみに『サボリ』にきてるんだよ!」


思わずこけてしまう小町。あぁ、映姫が聞いてたらどうなることやら。


「ち、チルノ!それは内緒にしとけと言ったろ!」

「?なんで?」

「だ、だから……」


あーだこーだと説明している様子を見て、妖夢と俺は静かに微笑んでしまう。


「…なんか…賑やかですね。」

「え、えぇ…私もチルノ…さんとか小町に元気を貰ってばっかりです。」

「…この感じ…なんか好きです。」


そのときの妖夢の横顔は、その容姿には似合わない(言っちゃ悪いが)凛々しくも微笑んでいた。

しかしその顔の奥には、一刻も早く力を取り戻したいと願っているような感じがしていた。


「わかったか?」

「わかった!」


チルノは元気に返事し、敬礼みたいなポーズをとっている。


「……焦ってもしょうがない…かな。」

「っえ?」


妖夢が今度はにっこりと微笑んでいる。その顔は先ほどの微笑ではなく、心の奥からの温かい微笑だった。


「行きましょう!止まって見ているだけはだめですよね!」


彼女は手を引っ張ってくれるかのように手を伸ばしながら小町たちの方にと走って行く。


いかにも彼女らしい駆け足で、前に進む妖夢を見て、先ほどの言葉を思い出しながら自分も前にと進んだ。


(〝止まって見ているだけではだめ〝…か。)


深く心に刻みながら、彼女を抜く勢いで駆け足のスピードを上げた。




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