罪人が幻想入り 15
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Extra.B
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「ったく、何も成果なし、か。」
結局、あの黒いもやは撮影のときにハエか何かのゴミがカメラに映ってしまったのだろうという結果に終わり、今までの研究は水の泡になってしまった。
研究といっても、ネットや本で、あらゆる生物を虱潰しに探しただけだが。
それにしてもあのもやはいったいなんだったのだろう。私は心霊についても調べた。
その中でひとつ、似てるような項目を見つけ、そのページを私は隅から隅まで見直した。
「白昼夢…」
彼に一番ありえそうなことなのに、こんなことに気がつかないなんて、私も勘が鈍くなったものだ。
白昼夢とは、ごく普通な生活をしているときに、現実じみた非現実的な体験や、現実から離れて何かを考えている状態を表す。実際には願望を空想する例が多い。
フラッシュバックも危ないが、白昼夢も彼にとっては危険になりうる。
彼には過去のことを思い出してほしい反面、彼のことを思うとあまり思い出してほしくない。
その過去はあまりにも彼には残酷すぎる…。
ましてや、その過去を思い違いしてほしくはない。
栢山はキーボードを叩く手を休める。
「……ふぅ。なんだかな。」
首をコキコキと鳴らすと、再びキーボードを打ち始める。
先ほどの話に戻るが、そもそも白昼夢でも、実際に第三者の私たちの目に見えているというのはおかしな話。いったい、黒い物体は何なのだろうか……
『ナイトメア……』
小さく、目に付いた記事の文頭をぼそりとつぶやく。
まさか、とは思ったが、その資料を広げてみることに。
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Extra.B end
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「あーあ、栢山帰ってこねぇし。」
ふてくされながらも、俺は部屋にこもり二段ベッドの上で寝転がっている。
「一人でなんもすることないからな~……」
ベッドの端をげしげしと蹴っていても何も起きないのは知っているが、腹いせに足を動かしている。
「ん~……二度ねしようかな…」
毛布に包まり、横向きになりながら目を瞑る。
温もりがほんのりと残っている。このちょうどいい温度がが睡眠を誘う。
深く、目を瞑る。
どうせ眠るなら、夢を見れればいい。夢はおもしろい。毎日違う夢と会えるしよく覚えていないのもまたしかり。
深く、深く。
俺は楽しい夢を望んで。
・・・
またしてもここに来てしまった。
わかっていてもここに来てしまう。
何故ここに来てしまうのだろう。
そして、いつもと変わらないこの空間。
いい加減、違う夢を見たいものだ。
「おやおや、飽きられては困りますよ。」
でたまた、姿無しに聞こえてくる声。
いい加減姿を見せやがれ。
そういえば前回は手が見えるようになったな。今度は上半身が見えるようになっている。
どうでもいいが、何故裸なのだろう。
「ここに来るのは偶然…まぁある意味必然的なんですがね。」
何を言っているのかさっぱりわからん。
暗い空間の中、俺はしっかりと両足で立っている。決して宙には浮いてはいないなだが、こうして両足が見えない以上、本当に両足で立っているのかさえ不安になるこの空間。
たまにふらつくことはあるが、それでも両足はしっかりと身体のバランスを保っている。
やっぱりこの空間は苦手だ。どうも自分というものを忘れてしまう。
自分……俺……おれ……。
思い出そうとしていても思い出せない。ここの空間だといつも自分というものを忘れてしまう。
不思議と、ここにいつも来るということは思い出しているのになぜか毎回「自分」を思い出せていない。
何でだろう、『俺が人間だということはわかっているのに』。
「まぁまぁ、ゆっくりと思い出してくれ。ここにずっといるのは危ない。」
とりあえず、姿を現して話してくれ、そうしないとどこに何を話していいかわからない。
「まだ、まだ君を救うわけにはいかない。」
……え?
いま……なん…て……。
ああぁ……頭がゆがむ…
「そろそろ目覚めるだろう。ゆっくりと毎日を過ごせばいい……。」
声が遠のいていく、これが夢から覚めるという感覚なら間違いであって欲しい。
こんなにも頭が痛くなり、こんなにも気持ちが悪くなって、こんなにも目の奥が燃えるように熱くなるなんて。
俺は激痛で目を瞑る。こんな痛みを早くなくなって欲しいと。
「………お?」
覗き込むように俺の顔を見ているのは、見覚えのある顔で、今度こそ忘れないと誓った彼女の顔だった。
「……おはよう、小野塚さん。」
身体を半身起こし、ゆっくりと背伸びをする。起き上がる直後、小町はわわわ、と後退。何を思って顔を近づけたのだろうと思ったが、背伸びしているうちにその疑問は解消した。
「お、おはよう…って言う時間じゃないけどね…」
どうやらお日様はもうそろそろで頂点を登る所らしい。
ふぅ、とため息を吐くと、へその辺りに湿った雑巾が落ちているのに気付く。
そういえばでこの辺りもなんだかひんやりと湿っているような。
おそらく、小町が看病をしてくれたのだろう。毎回の事ながら、感謝をしなくては。
「……いつも悪いな。」
「ん?あ、あぁ、生霊ってのは結構慎重に扱わないとな。よく倒れるのも仕方がないことだ。」
小町はよっこいしょと腰を上げる。
「ま、もうちょっとで昼飯だ。それまでゆっくりしてることさね。」
落ちた雑巾と近くの桶をもち、廊下に出ようとしたときだった。
「ひゅう!だいじょぶか!?」
いきなり襖がバンと豪快な音を立て開けられた。その音に俺は不覚ながらびっくりしてしまった。
小町がぼーぜんと見ている中、襖を開けた本人、チルノは心配そうにこちらを見ていた。
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