夏-2 反省会と夏休み
生徒集会終了後、イン生徒会室。
重たい雰囲気を切り裂くような会長の声。
「じゃぁ今から反省会を行うぞ、各自、今回の反省を出して行こう」
セミの声。
「まずは責任者の奈穂と黎から言ってくれ」
「えっと…準備時間が足りなかったんじゃないかなぁと思いました。 黎君の台本は悪くなかったけど、劇は失敗してしまったし…」
一言で言うと、今回の生徒集会は失敗だった。
劇は舞台稽古をほとんどしないまま、個人練習のみで本番を迎えてしまったのが一番の原因だろう。
台詞の掛け合いや、照明のタイミング、声の大きさなど、全部が全く噛み合っていなかった。
「そうか、黎はどうだ?」
「 奈穂と言いたかったことはほとんど同じです。 進行がもたついて、時間的にもオーバーしてしまいましたし。 今回は…やっぱり俺の責任です、すいません」
「私は、みんな回りが見えてなかったと思うにゃぁ。 生徒あっての生徒会なんだから自己満足じゃいけないんだよね」
会長が、今度はフジケン先輩にジェスチャーで促す。
「…俺は、今回の桐野君と酒井さんの企画は悪くなかったと思う…けど、二、三週間の放課後だけで、やるのは最初から、厳しかったんじゃないかな」
確かにそうだと思った。
小道具とかやけに手が掛かったしな…
「そうだな、フジケンの今の発言が核心を突いていたと思う。 企画した時点で『やらなければいけない』ことが多すぎて、『やるべき』ことが出来なかったろう? 」
奈穂と俺はコクリと頷く。
「次は、あー、もしかしたら黎と奈穂は来年もやるかもしれないが、覚えておいてほしい、
何をするときでも出来る限り時間に余裕を作れ、そうすればきっとうまくいくはずだ」
コホン、と一息。
会長は少しだけ表情を柔らかくして言う。
「とはいえ、結局なんのサポートも出来ずにお前たち二人に任せっぱなしで悪かった。 次は頑張れ、じゃないな、次は頑張ろう。
よし、今回の反省会はこれで終わりだ、お疲れ様」
起立、礼。
「かいちょうぅぅうぅ…!!!」
奈穂が超高速で会長に泣きながら抱き着いた。
「次はぁ…うっ…頑張ります…」
「よしよし、奈穂は可愛いなぁ、なでなで」
会長が右手で奈穂を抱きつつ左手で俺を手招きする。
「ほら、黎も私の胸で泣いていいんだぞ」
「いや…いいです」
「遠慮しなくていいんだ、男だって泣きたいときくらいあるだろう」
「泣けっ、にゃくんだ、ジョォォォー!!」
「…今回間に合わなかった一番の原因は、会長と由香利先輩が準備サボって遊んでたからですよね?」
「………」
「………にゃぁ」
「よし、みんな集まれー、夏休みのことについて話すぞー」
「流さないでくださいっ!!」
「小舅かお前は、うるさい奴は嫌われるぞ」
会長はやれやれとポーズをとる。
「あの、会長、夏休みって、生徒会で何か活動あるんですか?」
「いや、奈穂、原則的にはないけどな。 研修旅行という名ばかりのお泊り会をしようと思って」
「会長がそれを言っちゃ駄目でしょう」
「楽しみだにゃー」
「いいですね、わくわくしますっ」
「それでだな、山と海でアンケートを……」
「「海っ!!」」
「ということで過半数だな」
「いや、いいですけど…」
「八月上旬になると思うから詳細はまたメールする、宿題は早めにな」
「「はーい!!」」
「わかりました」
そして、夏休みが始まった。
一覧